「お前、ホモかよ(笑)」ージェンダー・セクシュアリティを考えるー
「お前、ホモかよ(笑)」
この言葉についてどう思いますか?
必ず笑いのとれる、マジックワードでしょうか?それとも、ちょっと引っかかるセンシティブなセリフでしょうか?
私は数年前まで、こういう言葉に抵抗なく大笑いしていたと思います。しかし、いくつかの経験を経た今、とても不愉快に感じるようになりました。今回は私の経験も交えながら、ジェンダーやセクシュアリティについて考えていきます。
トークショー「私たちのホモネタ論」
そもそもこのブログのタイトルの「お前、ホモかよ(笑)」という言葉について考えるきっかけをくれたのは、早稲田大学のLGBT ALLY WEEK中に開催された「私たちのホモネタ論~ゲイ×レズビアン×大学教授で考える会~」というトークショーです。
ゲイ、レズビアン、社会学者の3者が「ホモネタ」について真面目に楽しく話すイベントだったのですが、身近な話題を取り上げているということもあり、どんな人でも楽しめる内容になっていました。
なんとそのトークの内容がすべて書き起こされているブログを発見したので、興味のある方はこちらをどうぞ。(読まずに進んでいただいても後半の内容には影響しません。)
いかがだったでしょうか。ぜひこの企画団体(qoon)に拍手をお願いします。
私のLGBTとの出会い
近年、LGBTという言葉が社会で浸透してきて、企業や学校で「正しい知識を持ちましょう」とか「不適切な言動は慎みましょう」と指導された経験がある人もいるのではないでしょうか。
そんなことを言われても、違和感を感じずにはいられないという人もいるかと思います。少なくとも、私はそうでした。
私が初めてこうしたトピックに意識的に関わったのは、大学一年生のとき。時間割の関係で、たまたま履修することになったジェンダー論の授業がきっかけでした。
正直、「こんなものが大学生の授業として存在しているなんてくだらない」と思っていました。
大学生になったばかりの頃、私にとって学問と言えば、経済学や法学、心理学など、カチッとした、頭のよさそ〜な響きをもっているものでした。それなのに私が受けるのはジェンダーって… 。「私はいわゆるストレートだし、全然関係ないんだけど?(笑)」と、さっぱりやる気がありませんでした。ほとんど息抜きのような気持ちで出席していたのを今でも覚えています。(教授、ごめんなさい。)
まあ、そういう経緯でとにかくジェンダーについて学ぶこととなりました。
最初は、「ホモセクシャルやレズビアンの人だって立派な人間。それで差別することはおかしい」ということ自体、イマイチ理解できませんでした。
「だって、男性が女性を、女性が男性を好きになることが普通でしょう?それ以外ってなんか、キモチワルイ。」
恥ずかしながら、リアルにこんなテンションでした。しかし、講義を聞いていると、様々な知識が身についてきました。たとえば、ジェンダーやセクシュアリティによって差別され、死を覚悟するほどの苦しみを味わっている人がいるということ。そして、その該当者は13人に1人とも言われ、クラスに3人くらい存在する計算になるということ。
「え…これって結構インパクト大きい数字なんじゃない?」
授業を聞きながら、まだどこか自分事として捉えられなかった私でさえ、この数字はなかなか印象的なものでした。
当事者からのカミングアウト
そんな中、私の意識を大きく変えたのは、友人からのカミングアウトでした。
カミングアウトというのは、自分のセクシュアリティを他人に打ち明けることです。カミングアウトには大きく3段階あると言われていて、
があります。
私の友人のPさんは、カフェで一緒にケーキを食べているときに、いきなり①のタイプのカミングアウトをしてきました。つまり、生活する上で特別必要があったわけではないのに、私にそのことを伝えたくて、わざわざ勇気をもって告白してくれたのです。
そのとき、「あー、こんなもんか」と妙な納得感を得たのを覚えています。
それまでの様子から、Pさんがなんとなくホモセクシャルであることはわかっていました。でも私は、ホモセクシャルだからPさんと友達になったわけでもないし、ホモセクシャルだから友達をやめるわけでもありません。ただ、Pさんを人間として好きだから友達でいるのです。
セクシュアリティって、大切なアイデンティティの1つではあるけれど、それはその人のほんの一部であって、それによって何かが変わるわけではありません。そのことに気づいてから、「LGBTの人にとにかく配慮しなきゃ」と緊張していた気持ちがふっと軽くなりました。
ちなみに、私はPさんのカミングアウトを受けてから、ホモセクシャルだったり、バイセクシャルだったりの知り合いがたくさん増えました。ポイントは、友人たちのセクシュアリティがいきなり変化したわけではなく、それを私に打ち明けられるようになった、ということですね。
オススメのマンガ紹介『弟の夫』
もし、「こういう話に関心をもった」もしくは、「ここまで読んでもさっぱり響かん」という方も、ぜひ『弟の夫』という漫画を読んでみてください。
4巻完結で、サクッと読めますし、「セクシュアルマイノリティってこんなに差別されている!私たち可哀想でしょ!」という押し付けがましさが全くありません。そういったマイノリティの人々がどういう人間なのか、また、それを理解できない人たちとどう歩み寄っていくのかが丁寧に描かれています。
ちなみにゲイである登場人物のマイクは、カナダ出身という設定です。私自身、カナダで生活した経験があり、そこでのセクシュアルマイノリティに関する人々の考え方は、日本のそれと大きく違うと感じることが多々ありました。それはまた、別の機会にまとめてみようと思います。
私も全然人に説教できる立場ではなく、まだまだ勉強中です。これを読んでくれた人の中から一人でも多く関心の輪が広がることを願っています。